ラスト プリンス

「梨海は変わったんだろ? ならいい」

「でもっ……」

 耕太のおかげで変わったよ?だけど、嫌じゃないの? って聞こうとして止めた。

 聞くのが怖いのもあるけど、なんだか耕太を信じてないみたいで……イヤ。

「……なんでもない」

「なに?気になるんだけど」

 耕太はあたしに巻き付けていた腕を緩め、くいっとあたしの顎を上げて真っ直ぐな視線を落とす。

 うっ………色っぽー。

 これが大人の男の色気っていうやつなのかしら?

 気を抜けばくらりと目眩が襲うんじゃないかってほどのフェロモンばんばんの耕太の表情(かお)。

「梨海、言え」

 キス、出来ちゃうじゃないかなあっ! なんてドキドキしてるのはあたしだけ。

「おい」

 すっと目の色を冷たくした耕太は、「……よっ」っと小さく声を出して身体を動かした。

 今の今まで忘れてたけど、あたし、耕太の上に乗ってたんだよねえっ?

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