ラスト プリンス


 小さく自分にため息をついたあたしは、ソファーの後ろから回って、入り口から奥に座った。

 少し間を開けてソファーに座ったのに、耕太はその間を埋めるように近づく。

「な、なにっ?」

「俺、梨海に何て言いましたっけ?」

「化粧落としてこいって……。だから化粧落としたじゃない」

「化粧落とせ、とは言いましたけど、化粧直せ、とは言ってませんよ?」

 いやいや!!
 今日応接室で会ったとき、『さっさと化粧ナチュラルにしてこい』って言ったじゃないっ。

 なのに耕太は、いきなり眉を寄せるあたしの顎を掴み持ち上げる。

「ちょっ……」

 至近距離にある耕太の顔に耐えきれなくて、視線を泳がせるあたし。

 なーに、ドキドキしちゃってんのよ!!

 どうしてこんなやつに、ときめかなきゃならないの、もうっ。

 すーっと両頬を優しく撫で、包み込められたため背中がぞくぞくする。


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