緑の魔法使い
熱に魘されながら浅い眠りを繰り返していた。
関節と筋肉がぎしぎしと軋み、寝返りを打つのさえ苦しかった。
時折浮上する意識の中、羽鳥が付きっ切りで看病してくれるのがわかった。
氷水を額に乗せて、汗を拭いてくれる。
何人も綾瀬川が年齢を理由に新しく迎えた執事は何度も交代することとなった。
理由は単に私のわがままに付き合えなかったのだろう。
目を反らしたくなる容姿と薬の副作用からのやつあたり。
何度も苦しむ中でこのように看病してもらった記憶は綾瀬川しか覚えがない。
ひょっとしたら過去の執事にもいたかもしれないけど、いや、そこまで私に尽くしてくれた人はいない。
今回もきっと短い付き合いになるだろうと思っていた羽鳥だが、こんな姿を見てしまうといつまでもいてくれればいいのにと思いながら、意識を手放すように眠りに付いた。

次に目が覚めたのは夜深くなってからだと思う。
虫の音と風で揺れる木々の梢の奏でる音しか物音のしない山の中では時間を知るのが難しい。
喉が渇いて目が覚めれば、そこには橘君が居た。
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