【続】俺様王子と秘密の時間
羽鳥が優しいということを、あたしも知っている。
けれどそんなに前から“特別”だったなんて聞いたら、気持ちが揺さぶられて答えを出せない。
「応援したくなんのよねー。羽鳥見てるとさ……」
意味もなく参考書をペラペラと捲るはーちゃんは、どこか切なさを含む表情をしていた。
「そこまで想われて羨ましいくらいよ?妬けちゃうくらいだわ」
「それは困るなぁ」
へっ……?
あたし達の席の近くでいつの間にか佐久間くんが立っていた。
「ちょっと慎!いきなり現れないでよね?ビックリするじゃない」
ごめんごめん、と謝る佐久間くんは、はーちゃんの隣に座った。
「そういえば今日、成瀬川、どこか変だったんだよなぁ」
「千秋が?」
「うん。授業中ずっと窓の外見ててさ、ボーっとしてるってかんじだったんだ」