secret WISH
「おはよ」
昼前になって目を覚ましたチャロは
俺の顔を見るなり慌てて起き上った。
「あ、ごめんなさいっ!」
膝を借りて寝てたみたいで!と、後で付け足しながら俺に何度も頭を下げる。
別にこのくらいどうってことないのに。
なんて思いながら俺は笑った。
「チャロ、ほっぺに跡付いてる」
「え!?ちょ‥ちょっと笑わないでよ!!」
恥ずかしそうに頬を抑えるチャロは
掛けてやっていたブランケットを手繰り寄せ、
ぎゅっと抱きしめながら上目に俺を見てくる。
ちょっと待って、だからそれに俺弱いんだって。
「‥? 何これ」
そう言ってチャロが手を伸ばした先には、任務命令書。
「‥大変な、仕事貰ったね」
「いや、物凄くいい仕事だと思うけど?」
「本当にそう思ってる?」
「何でそんな事訊くんだよ」
「だって迷惑掛けちゃいそうだし‥」
任務命令書を俺に渡して、ブランケットを畳みだした。
その顔が少し曇って見えるのは、決して気のせいじゃない。
チャロは一体何を気に掛けているってんだ。
チャロは今までの10年間、誰かに甘えるという事は恐らくなかっただろう。
甘えたくても甘えられない、甘える人がいない。
きっとそうだっただろうからさ、
「ああ、沢山迷惑掛けろ」
「え?」
「沢山迷惑掛けて、沢山俺を困らせていいぜ」
これからはチャロに我慢なんてさせない。
‥まぁ、俺が我慢することはあるだろうけど?
ブランケットごと後ろから抱きしめて様子を伺えば
チャロはやっぱり顔を赤くしていた。
「セレス、そんな事言って恥ずかしくないの?」
こっちはホントに恥ずかしいんだから!
と睨むように俺を見るチャロだけど、俺は羞恥なんて‥
「別に言いたい事言ってるだけだし」
「それはそうだけど~‥」
「だけど?」
「こっちは煩いよ!会う度に心臓がドキドキして張り裂けそうなくらいなのに、これじゃあ心臓いくつあっても足りないじゃない」
「治癒能力あんだから大丈夫だろ」
「それとこれとは別!」
くるりと俺に向き直って
俺から逃れようとするチャロを抱き寄せた。
ブランケットがふわりと足元に落ちてくる感覚。
こりゃあまた、畳み直しだな。