硝子玉

「おはよう。」

家を出ると青空が玄関の前で待っていた。

「おはよ~!一緒に学校行こ~」

そう言って僕の手を強く握る青空は辛いんだ。

いつか、別れが来るのに

いつか、僕のことを忘れるのに

いつか、この道もこの空も全部忘れるのに

「青空・・・・・。」

「ん?何ぃ~?」

名前を呼ぶと微笑んで振り返る

いつか、その笑顔もきえてしまうんだ。

なら・・・僕は・・・・・。

「俺、青空の記憶がきえるまでお前のこと撮り続ける。」

そうしたら、この儚い笑顔も永遠に保存できる。

忘れないでいられる。

思い出せる。

だから・・・・・
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