満たされしモノ
外の景色を堪能しつつ、思考は徐々に昼食へと移っていく。


店舗の場所のこと。
店舗までの移動手段と距離。
いかなる戦法を用いるか。
そして勝ち取るべき『ウマパン』のことを……!!


(不知火……すまない!! やっぱり僕は……)


僕の心の謝罪は最後まで至らなかった。


窓の外に突如現れた人物に全ての意識を持っていかれた!!


ここは四階。まともな手段で窓の外側にいられるはずがない。


現れた人物は縄か何かでくくりつけれており、縄の先が上へ伸びている。


ぱっと見て、首吊り死体のそれと同じだった。


「うおわぁっ!!!!」


当然、ノミの心臓を持つ僕が驚かないはずがなく、情けない悲鳴をあげながら椅子ごと盛大にずっこけた。


「本間君!! だ、大丈夫デスか!!」


不知火……真っ先に駆け寄ってくれてありがとう。


だけど……、下着が見えてるよ……。いちご――


「何見ているデスか!! 死ぬデス!! 死んじゃえDEATH!!」


「ぐはっ!! がはっ!! や、やめて……!! 蹴らないで……!!」


不可抗力だったにも関わらず不知火の蹴りには手加減がなかった。


争奪戦を迎える前に多大なダメージを蓄積する僕だった……


 
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