満たされしモノ
クラスメイトによる質問の大合唱……


「先生が担任じゃなくなったら遅刻できないじゃん!!」
「パペット先生なら気を遣わなくて良いからねぇー……」


……の中に混じる不協和音……


確かにパペット先生が担任だと色々と楽ではあるが、少し自重してほしい。


案の定、苦笑いで更に困り顔をするパペット先生。


「いえ……この学校を去るわけではないですよ……。というより……去るつもりもありません……」


そうか……


黎明学園の教員は、基本的に学園側から解雇されることはない。


辞める際は全て、教員側からの自主退職という形になる……と、閂から聞いたことがあるな。


私立黎明学園の教員雇用形態はかなり変わったものらしいが……、まあ、今は関係ないか。


現在、重要なのはパペット先生に辞職の意志がないこと。すなわち、来年も確実に学園の教員であるということ。


だとすれば……


「お別れとはどういう意味ですか……?」


懇願するかのように質問をぶつける僕に、先生は静かに答えてくれた。


 


「それは……つまり……、来年になれば……皆の担任ではなくなってしまう……、という意味です……」


 


……


 
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