満たされしモノ
静まり返る教室。


皆の頭の中では先生の一言が反芻しているだろう。


僕がそうだから。


……


考えてみれば、なんて当たり前のことだろう、と思う。


進級すればクラス替えによりクラスメイト達は離れ離れに。当然、担任も異なる。


あと半月も経たない内に訪れる出来事。


……そのことをパペット先生は憂いていたのだ。


 


「先生……」


僕は感動していた。


先生は僕達と離れたくない。それほどに大切に思われていることに。


この感動を言葉に出来ないでいると、突然にざわめきが起こる!!


「ふおぉぉぉ!! 先生サイコーー!!」
「パペちゃん愛してるーー!!」←男
「YEEEEEHAAAAA!!!!」


なんと……


皆で先生を称えるパペットコールが始まったではないか……


思うところは同じ、というわけか。


ただ話題の中心にいるパペット先生自身は何故に誉められているのか理解していない様子。


「いえ……あの……」


普段は青白い顔を珍しく紅潮させたかと思うと……


すぅー……


と、上に戻っていかれた。


……どうも恥ずかしかったらしい。


「先生……朝から萌えさせないで欲しいデス……」


再び静まり返っていた中、不知火の呟きが聞こえた……


 
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