満たされしモノ
完全に鐘が鳴り終わる頃には、教室内にいるのは教師と若干の生徒だけになっていた。


「えー、では授業はここまでということで」


教師にとっては、もう当たり前の授業風景。


特に気にすることなく教室から出ていった。


さて……、残った若干数の生徒の中には僕や穴夫達も含まれているわけだが。


「本間君……」


不知火が僕を凝視しているので動くに動けなかった。


まあ、Aクラスからはどんなに急いでも先手は取れないので、慌てる必要もないか。


今は不知火の視線を掻い潜るほうが先決だ。


「今日は穴夫と一緒に『我骸惚骨流』に行くよ」


「……本当に、デスか……?」


疑いのまなざし。


「本当だって。ね、穴夫」


穴夫に同意を求める。


僕と穴夫のアイコンタクト。


「そうだな。刀矢は俺が見張っておく」


よし。さすがは長い付き合いなだけはある。


彼は僕の意図を理解してくれた。


「……分り……ました。堀君、頼みますデス」


渋々ながらも不知火は了解した。


これ以上の問答は時間的にマズい、と判断したのかもしれない。


「じゃあ、急ごう!! 戦闘はとっくに始まっているだろうしね!!」


あとは勢いで突っ切るのみ!!


ということで、僕達は誰もいない教室をあとにしたのだった。


 
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