遠目の子鬼
又兵衛は僕の言葉に、かなり引っかかったらしい。


ユーフォニュームは外国の物だ。


これを、この順和風の又兵衛が練習付けてくれるなんて――


「又兵衛――大丈夫なの?」


又兵衛は僕の顔をじっと見詰める、そして僕が何を考えて居るのか察した様だ。


「お、保孝、疑ってるな。まぁ、にわかには信じられないだろうな。だが、俺は必ずその、ユーフォ何とかを上手く吹ける様にしてやるよ。なぁに、大船に乗ったつもりで待ってろよ」


「ユーフォ何とかって――う、うん、分かったよ、信じる、仲間だものね」


僕は、自信満々の又兵衛を見下ろしながらちょっと後悔もしていた。なんか、凄く厄介な問題に手を突っ込んでしまったのでは無いかと感じたからだ。
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