遠目の子鬼
リビングのソファーで、くつろぎながら新聞を読んでいたお父さんに僕は思い切って聞いてみた。


「なんだ、保孝?」


僕があらたまって聞いたものだから、お父さんは何事かと表情を少し硬くした。


「お父さん…僕位の年の頃って、自分に自信が持てた?」


僕の質問にお父さんはちょっと困った表情を作りちょっと考え込んだ。


そして…


「お父さんが保孝くらいの頃か。そうだね、正直に話すと、自分に自信は持てなかったよ。周りの視線ばかり気になってね、自分は他の人には、どう見えるのかって」


お父さんはそう言いながら、新聞から目を離し、僕にゆっくりと視線を移した。


「ふうん…」
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