遠目の子鬼
「じゃぁ、彼女は僕の事、嫌いなのかな」


「いや、嫌いじゃぁない」


「だったら――」


「そう、そこが重要なところだ。要するに、彼女は保孝の事を、好きでも嫌いでも無い。空気みたいな存在だって言う事さ」


僕は又兵衛をじっと見詰めた。又兵衛は僕をじっと見詰めて居る。


「分からないか?」


又兵衛の質問に僕は小さく頷いた。


「保孝、彼女の事が好きか?」


僕は、ごくっと唾を飲み込んで、ちょっと躊躇ってから小さく頷いた。


「そうか。なら、一生懸命練習しなきゃな。彼女に良い処を見せられたら、きっと保孝の存在を気にする様に成るさ」
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