遠目の子鬼
逆に真面目に練習してるんだ。隠す事なんて…」そう、ちょっとふてくされた表情で僕に答えた。


「でもさ、又兵衛、現実の世界以外に別の世界が存在するって事が世間に人にばれたら、価値観が変わって、パニックになっちゃうよ。やっぱり、今の処、又兵衛達の事は秘密にしておいた方が良いと思うんだ」


又兵衛は、いぶかしげな表情で僕を見上げる。


「うん、まぁ、保孝がそう言うならそれで良い。で、どうするんだ、この子の事は?」


又兵衛がなっちゃんを指差す。


「あの、あのね、佐藤さん…」


そう話しかけると、なっちゃんは、にっこりとほほ笑む。


「保孝君、そんな他人行儀な言い方じゃなくて、なっちゃんで良いわ。わたし、その呼ばれ方、結構気に入ってるのよ」
< 99 / 274 >

この作品をシェア

pagetop