白黒先生-二重人格彼氏-

「…? 何です、倉橋さん」

あたしの視線に気が付いたのか、先生が言う。

「いっいえ、何でも」

あたしは慌てて視線を逸らせた。

瑛は不思議そうにあたしをジロリと見てきた。


「な、何よ瑛…」

「別に…。ってそれより、唯はどうした?」

「あーっ、そうだ」

失礼ながら、唯の存在を忘れてしまっていたあたしたち。

急いで辺りを見回したものの、唯の影はなくなっていた。


「あっれー…どこ行ったんだろ」

「お前、最低だな、友達忘れるなんて」

「こっ…これはしょうがないでしょ」

些細なことで言い合いになるあたしと瑛。

まぁ、慣れっこだけど。


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