大好きな人にふられたときに読むお話

ふられ方には、私が思うに二種類ある。一つは、付き合っていくうちに性格が合わないことに気付いて、ふられる。もう一つは、付き合い方を失敗して、ふられる。

私は後者。

私は宏樹との付き合い方を間違えた。宏樹は馴れ合いを好まない。宏樹はただ自分を支えて、邪魔にならない程度に癒やしてくれる女を求めた。私は、そういう女になるつもりだった。でも、無理だった。

価値観の違いじゃない。私はそういう女になりたかったけど、できなかった。欲望を抑えられなかったから。私は宏樹と一緒にいたかった。宏樹が一人の時間を求めたのは知っていたけど。私は宏樹にキスしたかった。宏樹が疲れているのは知っていたけど。

好きな人なら、何をしても許されるなんて、そんな楽な恋愛は、ない。