聖花学園~花よ咲き誇れ~
 様付けと敬語にまだ違和感を感じる事はあったが、流石に一ヶ月弱言われ続けていたら慣れてきた。


「ありがとう、わたしのために色々考えて迷ってくれて。わたしも、明日を楽しみにしているわ」
 飛び切りのフラワースマイルで答えてあげた。

 すると彼女達は僅かに頬を染める。

 その反応にも慣れてきた。
 慣れてくると、そんな彼女たちが可愛く思えてきたから不思議だ。



「小都子」

 教室のドアのところから名前を呼ばれた。
 流依だ。

「今日こそ、一緒に帰りましょう?」

 わたしは顔が引きつるのを必死で抑えた。


 流依とは初日以来一緒に帰っていない。

 前日から他の方と約束をして、今日は誰々と帰るからと断ってきた。

 理由はもちろん流依と出来る限り行動を共にしたくないからだ。


 なのに最後の最後、今日に限って他の四人全員用事があって一緒に帰れないという。
 わたしは、流依と一緒に帰ることを余儀なくされていた。

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