聖花学園~花よ咲き誇れ~
 でも、ずっとこのままでいるわけにもいかない。

 わたしは何度も迷って、やっと声を出した。


「えっと、流依? ……その、ごめんね。もういいよ」

 言うと、一瞬だけ名残惜しむように腕の力が強まり、そして離れた。



「じゃあ、帰るか……」

 流依はわたしが身だしなみを整えるのを待って、そう言い、わたしの手を引いた。



 初日に同じように手を繋いで帰ったときは、気まずさとか、訳の分からない嫌な気持ちばかりだったけれど、今は何だか安心できた。

 繋がっている手の体温が暖かい。


 守られている。

 そんな感じがした。


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