無色の日の残像
 フン。マスターが引っ込んだ後、ストローでアイス・コーヒーをぐびぐび飲んで、空気は鼻を鳴らした。

「ハーン、お子ちゃま!」
 精一杯の反撃らしかった。

「空気だって、甘くしないと飲めないクセに」
「う・・・・・・」
 からっぽになったガムシロップとクリームの容器を眺めて羽海が言って、空気が黙った。

 彼女はと言えば、何も入れずにブラックで飲んでいる大人なのだった。

「それで、歳が同じで名字が同じってことはきみたちキョウダイ? 双子なの?」

 新見少年が、向かいの席に並んで座る二人を見比べた。
「そう言えば、何となく顔も似てるかな」

「いとこだよ」
 空気が不機嫌にそう吐き捨てた。

「ああ、いとこなんだ。きみ──さっきからなに怒ってるの?」
「うるせえ」

 空気は窓の外を睨んだ。
 もともと鋭い三白眼を、ますます険しく吊り上げている。

 自分たちと同い年なのに、偉そうに尋問などをする目の前の少年が気に入らない。
 虚弱そうなひょろい体のくせに。
 軍服とカタガキで武装しやがって。

 それに。
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