無色の日の残像
「ピースピースをぶっ壊しやがって」

「ピースピース? って?」

「Peace Piece号だよ! お前がプロペラ壊した俺たちの飛行機!」

 喫茶店の前は白い砂浜になっていて、打ち寄せる波が見えている。
その波打ち際に、銀色の飛行機がぐったりと横たわっていた。

「ああ、あのセスナ。ピースピース号って言うんだ。撃ち落としたのは仕方ないよ、きみたちが警告を無視したんだから」

 新見少年は罪悪感ゼロの顔で言った。

 ちなみに彼の黒い戦闘機は、ここからだと見えないやや離れた場所にある。

「ちゃんとここまで引いてきてやったんだから感謝してほしいね。だいたい西側の人間があんな場所を飛んでるなんて、領域侵入だよ」
「だ──だから、それは・・・・・・」

 空気が口を開きかけたとき、再びマスターがやってきた。

「はい、お待たせ」

 空気が口を噤む。
 新見少年は目の前に置かれたクリームソーダを、穴が空くほど見つめた。

「あの、マスター」
「ハイハイ、なにかな?」
「僕、炭酸も苦手なので──何か別のにしてください」
「・・・・・・・・・・」

 マスターが去っていった後。

「お子ちゃま」
 空気がもう一度反撃した。
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