無色の日の残像
「──ところが、海上で操縦がきかなくなって──警告を無視して飛び続けたのはそのせいだと?」

「あーあ。海の上からなら、見つからずに国境が越えられると思ったんだけどなァ」

「馬鹿じゃないの、きみたち」

話を聞き終わった新見少年は、二人の計画をそう一蹴した。

「あァ!? なんだと、もっぺん言って──」
「やめてよ、クウ、頼むからっ」

「馬鹿だろ。それ、僕がきみたちを見つけなかったら、遭難してたってことじゃないの」
「う──」

「命の恩人じゃん、僕。怒られる謂われはないね」

 新見少年は呆れたようにそう言って、「それに」と続けた。
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