無色の日の残像
「あ、あの──あたしたちどうなるのかな?」

 羽海が恐る恐るそう尋ねた。

 はあ、と新見少年は深い溜息を吐いた。

「クソ、軍の命令で、休暇中だってのに何事かと出てみれば──アホらしい」

 ストローでリンゴジュースを最後まで飲んで、少年は席を立った。

「軍には、海上で遭難してた西側の馬鹿な学生二人を保護したって報告するよ。操縦不能に陥り、誤って国境線を越えたらしいってね。──まあ、ある程度の拘束は覚悟しておいてよ」

 二人には席から動かないように、マスターには二人を見張っておくように言い置いて、新見少年は通信を入れるために戦闘機へと戻っていった。

 自分たちが置かれた状況の大変さがわかってきて、さすがに二人は不安な表情で顔を見合わせる。
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