無色の日の残像
 あの後、町の整備業者に無色が連絡を取り、無色とは顔馴染みだという愛想の良いおじさんがトラックでやってきた。

「うーん、こりゃ時間かかるかもしれんな」

 砂浜に横たわるピースピース号を調べたおじさんは、眉間に皺を作った。

「プロペラはともかくとして、操縦系統がなあ──まあ、持ち帰って詳しく調べてみないと何とも言えんが・・・・・・こいつは電気回路だろうなあ」

 無精髭をごりごり擦りながらおじさんはそう言って、ぺしりと禿げ上がった頭を叩いた。

「まあ、預かってみるさ。おい、ガキンチョ、お前さんの【カグヤ】も一緒に見といてやるよ」

「ガキンチョじゃない!」と噛みつく無色に、おじさんはハハ、と笑って、
「いつもどおり持ってきな。経費は軍につけといてやる」
 マスターと同じようなことを口にして、乗ってきたトラックにピースピース号を積み込み去って行った。

 それで、彼らは現在、島の外れにあるという整備場まで、無色の戦闘機を持っていく途中なのだった。

「軍の戦闘機をそこらに放置して、フラフラ出歩くわけにはいかないだろ」
 無色はそう説明して、監視のために二人にも同行するように言った。
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