無色の日の残像
「はあ」
「っていうか俺も馬鹿だと思うけどね。でも俺は好きだなあ、そういう、若者故の馬鹿っぷり」

 軽薄な表情と喋り方をなんとかすれば、もっと格好いいのに、と思わなくはないけれど。

「ただね、気をつけろよ」
 空気がそんなことを思っていると、マスターは顔から笑いを消して、真剣な目をした。

「若者故の馬鹿っぷりが、時にとんでもない事態を招くこともある」

 ぞくりとするような視線だった。
 でもそれはほんの一瞬のことで、マスターはまたすぐに表情を崩すとビールの缶を口に運んだ。

「痛感してます」と、空気は苦い思いで口にした。
「それは結構」

「あの──雨鳥さん、昼間あいつに言ってたエスエー・・・・・・ナントカって、何なんですか?」 

 波打ち際では、未だよくわかっていない無色に「ホラ」と羽海が光る波を指さしている。

「SAMFのことかい?」

「『こっち』では、俺たちみたいな学生はみんな学徒兵だって聞きましたけど──無色は、違うんですか」

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