無色の日の残像
雨鳥がビールの缶を流木の上に置いた。
コン、という音がする。
「ああ、西では高校卒業後に兵役があるけど、こっちは中学、高校はみんな軍の下に置かれてるから、命令があれば、学徒兵として軍に従わなくちゃならない」
ビール缶に印刷されたロゴは、西側では見たことのないものだった。
少なくとも、空気の父親が家で飲んでいる缶ビールの中には見た覚えがない。
「でも、無色くんは学徒兵とはまた、全く別だね」
雨鳥は無色の着ている軍服を眺めながら言った。
「あれは軍の正規兵が着る制服だ。無色くんが着てるのは、その中でも将校クラスの軍人用のだよ──あんな小さなサイズがあったとは驚きだけど」
戯けて放たれた最後の言葉が、空気には逆に悲しく聞こえた。
「第61特殊作戦航空団、第171特殊戦術分遣隊。表向きは特別戦術空軍の中に置かれてるけど──171(イナイ)の通称は特殊遊撃部隊(SAMF)って言ってね、神出鬼没の完全な独立部隊なんだな」
謎の部隊だとは聞いてたけど、子供まで使ってるなんてビックリだね、と雨鳥は皮肉っぽく言った。
「そう言えば、戦姫の噂があるな」
「戦姫・・・・・・?」
コン、という音がする。
「ああ、西では高校卒業後に兵役があるけど、こっちは中学、高校はみんな軍の下に置かれてるから、命令があれば、学徒兵として軍に従わなくちゃならない」
ビール缶に印刷されたロゴは、西側では見たことのないものだった。
少なくとも、空気の父親が家で飲んでいる缶ビールの中には見た覚えがない。
「でも、無色くんは学徒兵とはまた、全く別だね」
雨鳥は無色の着ている軍服を眺めながら言った。
「あれは軍の正規兵が着る制服だ。無色くんが着てるのは、その中でも将校クラスの軍人用のだよ──あんな小さなサイズがあったとは驚きだけど」
戯けて放たれた最後の言葉が、空気には逆に悲しく聞こえた。
「第61特殊作戦航空団、第171特殊戦術分遣隊。表向きは特別戦術空軍の中に置かれてるけど──171(イナイ)の通称は特殊遊撃部隊(SAMF)って言ってね、神出鬼没の完全な独立部隊なんだな」
謎の部隊だとは聞いてたけど、子供まで使ってるなんてビックリだね、と雨鳥は皮肉っぽく言った。
「そう言えば、戦姫の噂があるな」
「戦姫・・・・・・?」