無色の日の残像
その日は透明は病室にいて、彼らが来ると楽しそうに顔を綻ばせて色んな話をした。
病院で知り合った友人のこと、小さな男の子のこと、看護士や医者のこと──。
空気はそのそばで淡々と相槌を打つ無色を見ながら、やりきれない気分になった。
無色と透明。
同じ人間から作られた二人が、どうしてこうも違うのだろう。
二人の容姿が少し違うのは、遺伝情報のエラーの違いや、成長の過程で投与された異なる薬などの影響らしいが、問題は外観ではない。
無色と違って、透明はこんなにも表情が豊かで人間らしいというのに。
「ねえ、二人にはそれぞれお父さんとお母さんがいるのよね」
透明はそう言って、彼らの家族や西側の話も聞きたがった。
「西側ってどんなところ?」
病院で知り合った友人のこと、小さな男の子のこと、看護士や医者のこと──。
空気はそのそばで淡々と相槌を打つ無色を見ながら、やりきれない気分になった。
無色と透明。
同じ人間から作られた二人が、どうしてこうも違うのだろう。
二人の容姿が少し違うのは、遺伝情報のエラーの違いや、成長の過程で投与された異なる薬などの影響らしいが、問題は外観ではない。
無色と違って、透明はこんなにも表情が豊かで人間らしいというのに。
「ねえ、二人にはそれぞれお父さんとお母さんがいるのよね」
透明はそう言って、彼らの家族や西側の話も聞きたがった。
「西側ってどんなところ?」