Magician Song〜魔術師の唄〜
「…なに?…どういう、こと…?」
瞳を大きく揺らしたリアが、問う。
その表情に唇を噛み締め、父はリアにペンダントを付けてやる。
そして、静かに口を開いた。
「…今、変な奴らにこの家は囲まれてるんだ。だからリア、危ないからここは父さんに任せて、お前は逃げろ」
真剣な表情で告げられた言葉に、リアは大きく目を剥く。
だが、それを無視し、父は話を進めた。
「お前の特殊魔法を使えば、絶対に逃げられる。この山を下りて、王都に行くんだ。何度も行ったことがあるから、道は覚えてんだろ?」
「………」
「なぁに、心配すんな。そのペンダントを見せれば、父さんの知り合いの家に連れてってもらえるはずだからな」
少しだけおどけた言い方をし、リアに向けて笑む。
そのまま再び口を開こうとした父を遮り、リアは声を上げた。
「…っやだ…行かないっ!…あたしだって、戦える…っ!」
「だめだ」
リアの言葉に、父は眉間にしわを寄せる。
それでも食ってかかろうと口を開いて、だがリアは寸でで息を呑んだ。
「おぉーい、隠れんぼかぁ?早く出てこいよぉ!」
鳥肌が立つような、間延びした声音。
そして、それと共にした、爆発の音。
「…まぁ、そんなに遊びてぇんなら、遊んでやるけどぉ!?」
その男の声と、そのほかにも聞こえる笑い声。
それを耳にし、リアは顔を蒼白にした。
その表情を見た父が、静かにリアの肩を掴む。