【 LOVERS 】
『ここだよ。』

と稜が指差して、持っていた傘を
オレに渡し、雨の中ドアの鍵を開けてる。

「・・・・・・」
ここって?
上を見上げて見る・・・
どうみても倉庫なんだけど?

『開いたよっ、繭?
ごめんねっ、1ルームとか
想像してた?
早く、濡れるから!』

と稜が一瞬不安そうな顔に
なって、それでもオレに
気を使ってるのが
わかったから中に入ることにした。

バラバラバラ――

雨の音がやけに響く。


中はやっぱり倉庫で

「稜・・・これ稜の?」

あまりにもこの場所に
不釣合いな高級車が3台
並んでいた。

前の階段を上っていた
稜がオレの声に振り返って、

『繭、違うよ(笑)
僕のじゃないから、
だったら迎えにいってるよっ』

と笑い、

『この車の持ち主に
2階借りてるだけ、
この車持ってるなら
こんなとこに住んでないよっ』

ともっともなことを言う。


階段を上がり

『何もない部屋だよ』

と稜がドアを押さえて待っている。


その部屋に入ると・・・


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