シンシア ( l )
ヤクザのやり手の若頭 早乙女 武士は、タバコをふかし、右手に銃を持って相手に向けていた。
「おい、そこに居るのは、判って居るんだよ。 早く出て来いよ。 関谷さん」
落ちついた声に対して、落ちついた態度で ゆっくりと廊下から部屋の中央へ歩いて行く関谷 涼次刑事 だった。

「両手をゆっくりと上げて出て来いよ。 下手なマネをすると死ぬ事に成るよ・・・・・」
「・・・よっ、お久しぶり・・・」
「フフッ・・・」
「まっ、何を考えているのか判らないが、周りを見ても誰もいないし、俺を殺す事も出来るし」
「フフッ、面白いね〜」
「俺にも一服させてくれよ・・・ナッ」
「フフッ、いいだろう。 でも、ゆっくり動けよっ」

両手でタバコとオイルライターを取り出し、一本取り 火をつけた。
「相変わらず、オイルの香りを楽しんでいるのか〜・・・フ〜、美味いね〜」

互いに目を合わせ、微笑んだ。
「最後のは、美味いか」 改めて銃を構えた。
キンキンッ、ブルブルブルー。 タバコの先が床に落ちる。 カンカラカン〜・・・・・・!?
銃口の先も床に落ちた。 二人眉をしかめ、床を見た。
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