あの男は私に嘘をつく

「恭子ちゃん、今日終業式だったわよね??」



「うん、そうなの。めんどくてさ、途中で
抜け出してきたけど。」




「お前なぁ…、学校行事ぐらい
ちゃんと出ろよなぁ。」



「おじちゃんは、黙ってて!!
どぉせおじちゃんだって、ｻﾎﾞったりとか
してたんでしょｰ??」



図星なのか、おじちゃんは、うっ、と言って、
それ以上は何も言わなかった。


「あ、そういえば何かいないと
思ったら、脩二くんかっ!!
今日はどうしたの??」



「ｶﾗｵｹまで一緒だったけど、
うるさいから、置いてきちゃった。」



私がひょうひょうというもんだから、
麗華姉さんは思わず噴き出していた。
ｸﾞﾗｽを拭き終わったおじちゃんが、
私に炭酸水を出してくれた。



「……なにこれ??」



「炭酸水。」



おじちゃんはﾀﾊﾞｺに火をつけながら、
言った。ﾀﾊﾞｺの煙が充満し、私と麗華姉さんが
げほげほなったから、
おじちゃんは急いで換気扇をつけに行った。



「もぉ…、いつも子供扱い……。」



私はﾑっとして炭酸水を飲んだ。
炭酸がかなり効いていて、鼻にﾂﾝときて、
げほって言うと、おじちゃんは
自分のﾀﾊﾞｺのせいだと思い、
窓まで開け始めた。


そんな様子に麗華姉さんは笑いながら、


「恭子ちゃんが可愛いのよ。」


「そんなことないよ～。いっつも
ﾃﾞｺﾋﾟﾝしてくるんだからぁ。」


「それも愛情よ。ほら、彼子供好きだし。」


その言葉に私は思わず麗華姉さんを見てしまった。