あの男は私に嘘をつく
「いらっしゃ……、なんだ、恭子か。」








「……」








言い返す気力すらおきなかった。そんな私の様子に気付いたからか、おじさんがそれ以上言うことはなかった。












そのとき、麗華姉さんの両手が背中に当たり、ぐいっと前へ押した。








「ちょっと私、裏に行っててもいいかしら??」












「なんでだよ??」












少しムスッとした顔をしたおじさん。そんな顔、始めて見たから、つい笑ってしまいそうになった。













おじさん…っ、顔に出てるったら。












私は口元に手を当て、笑いをこらえながら、麗華姉さんについていった。














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