私があなたであなたが私!?
中にお邪魔すると、まず少しせまい玄関があって、私は靴を並べて薫さんの後を追った。
「狭いし、ボロくてごめんね」
薫さんは苦笑いを浮かべながら、パチンと鳴って、部屋の明かりをつけた。
「いえいえ!あの…お父さんは?」
家の中に誰もいない所を見るとまだ帰ってきていないらしい。
「うーん、多分どっかでまた飲んだくれてるかな?どこかほかのひと(女)の所だと思うよ」
「えっ」
思わず私は声を漏らしてしまった。ほかのひとって……。離婚してるとは聞いたけど、新しい奥さんはいないって聞いたのに…
「あれ?」薫さんは振り返って
「もしかしてあいつから聞いてない?」
と複雑な表情を浮かべた。