Vanilla Essence
中に入ると、そこは薄暗くて空気も汚いから、気持ち悪い。
けほっとひとつ咳をして、芯を見る。
背中しか見えない芯は、なんだか怖かった。
遠くに見えるのは(といっても距離はさほど離れていない)、男の人が5、6人。
全員が紗由美を見てニヤニヤとしているんだから、紗由美はこのあとにあることを嫌でも予想することができた。
「連れてきたよ…お兄ちゃん」
芯は、抑揚のない声で言った。