アザレアの花束を
今まで玲さんに向けていた紅い瞳を俺に向ける海さん。
「どういうつもり? 玲の様子では、あなたが人間の少女となにか関係があることに取り乱していたらしいけど……」
コツコツと靴の音を響かせてゆっくりと俺に近づく海さん。
「……何をするつもり? 場合によっては、反対せざるを得ないわ」
「……っ」
何も答えることのできない俺。
俺の明日の計画がバレてしまう。
……愛と一緒にいれる方法はこれしかないと思ったのに。
また、邪魔が入るのか?
また、愛をひとりぼっちにしてしまうのか?
もしかしたら、愛を危険なめにあわせてしまうのか?
そんなこと、許さない。
「愛は関係ない」
やっとの思いで俺の口から出た言葉はそれだった。
しかし、じっとりと俺を見つめる海さんは、見透かしたように言い放つ。