アザレアの花束を
「嘘よ。少女が関係していなかったら、貴方はそんなに必死にならない」
あっさりと見破られた。
何もかも終わってしまうのか、と思い俺はその場に座り込んだ。
体の力が全て抜けてしまったように。
「もしかして、あの本を読んだの?」
嫌な予感を察知するように海さんが問うと、俺は首を上げて海さんを見た。
「あの、本……?」
海さんは眉をしかめて、口にすることも不快に思うというように間をおいて言った。
「『ヴァンパイア構造論』……」
俺は目を丸くした。
「どうして海さんがそれを……」
「やっぱり読んだのね」
海さんは俺と同じ目線に座り込み、両手で俺の肩にそっと触れた。
「それじゃあ、貴方は日に……当たろうとしているのね?」
彼女と同じ生き物に、そう海さんは呟いた。