キミは許婚
足取りの重い聖を尻目にあたしは乗り場へ足を進めた。
ジェットコースターは一番人気なだけあって長い列ができていた。
「こんなに並ぶなら乗らなくていいんじゃないか?」
列の最後尾に並ぶと聖は小言を漏らした。
見上げた聖の顔には不満よりも不安がにじみ出ていて、そんな顔を見ているとついいじめたくなってしまう。
「並んでも乗りたいほど面白いんだよ。並ぶの嫌ならさっきみたいに特別対応してもらえば?」
「……一般人らしく振る舞ってやってんだよ」
「それなら黙って並ぶ! まだ悪あがきするの?」
「お前……後で覚えてろよ!?」
軽くいじめたつもりが……ちょっと恐いことになっちゃうかも。
それから並んでいる間、あたしと聖は一度も口を開かなかった。