キミは許婚


なのに……あたし、今きちんと笑えてるかな?



頬の感覚がない。


目もどこを見ていいのかわからなくて、


ただあまり哲太と彼女が並んでいる様子は見たくなくて。



視線が足元ばかりをさまよっていた。



「あ、あたしは佐原明……で、こっちは……」



聖を紹介しようとして見上げると、聖と目が合った。



目が合った瞬間、聖は何に驚いたのか目を丸くした。



「明……!」



名前を呼ばれたと思った途端、あたしの手を強く引っ張って走り出した。
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