キミは許婚
社長だという事実が明らかなだけに、現実との差に唖然としていると、上条さんから手を差し伸べられた。
「ほら」
「……え?」
「イイ男を至近距離で味わいたくないのか?」
「結構です!」
イイ男じゃない、と全否定できないのが悔しい。
そして支えの手が無いと立てそうにないのも悔しい。
でも上条さんの手を借りる気にはなれなくて、あたしはそっぽを向いて断った。
「ったく、手ぇ握ることができないほど俺のこと意識してるわけか」
「や、やっぱり手を貸してください!」
慌ててあたしは自分から手を差し出した。