キミは許婚
学校に着いてからのあたしは抜け殻のようだった。
講義中も窓の外を眺めて、移動教室にも間に合わなくて一つ講義をさぼった。
代返してくれるような友達もいないので成績にも響く。
「こんな誕生日……ないよね」
しかもハタチという成人への一歩という日。
講義が始まり、静まり返っている廊下をあたしは一人で足音を響かせながら校舎から出た。
外には結構人がいて、みんな友達と喋ったり音楽を聴いたり、本を読んだり……。
夕日が、そんな思い思いに過ごしている人達を茜色に照らしていた。
赤く染まった皆の顔も、足元のレンガ風のコンクリートも、眩しくて綺麗で……
今日初めて誕生日らしいかな、なんて思えた。