キミは許婚
「俺は、欲しいものは手に入れないと気が済まないんだ。いや、たとえ他のものが手に入らなくても……明だけは手に入れたかった。
だから三年の歳月をかけて、佐原社長と取引だけじゃなく、業務提携を結べるほどの会社にして、
社長に『俺の父と許婚の約束をしている』と嘘をついて明を紹介してもらったんだ」
そういえば、父も約束した覚えがないと言っていた。
あの時は「お酒を飲んでいたせいで覚えがない」ということになったけど、
……覚えがなくて当然だったんだ。
結果として聖は一人で嘘をつき、父を含めた周り全員を騙してあたしと許婚という関係になった。
なんでだろう。
自分も騙されて、自分の父親も騙されていたというのに……あまり嫌な気持ちにならない。