キミは許婚


「部屋は入るなよ?」


「なんで? 昔はよく入れてくれたじゃん」


「あのねぇ、俺ってもうハタチなの。明ももうすぐそうなるだろ? さすがに大人なの」


「大人……ねぇ?」


「あー、その目は疑ってんな? 俺も男だっつーの。二人っきりで完全な密室、なんてことになったら……襲っちまうぞ?」


「お、襲……!」



哲太はいたずらに笑ってキッチンの方へ歩く。


すれ違う際、頭にポンッと軽く手を置かれて、あたしは口をつぐんだ。



部屋へ入れてくれなくなった理由はともかく……最後の一言は冗談だ。



冗談だってわかってるのに……鼓動が速くなってる。
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