―ユージェニクス―
間宮はあからさまに塔藤を怪訝するが、塔藤はそんな事を気にもとめない。
「村崎さんか、所属はどこ?」
「え?や、薬剤課ですけど…」
「へぇ、間宮先生と同じか」
「もういいだろう塔藤君!さっさと…」
この様子からして、どうやら塔藤は間宮を怒らせるのが楽しい様だ。
律子を自分が案内しようと言ったのもその延長上だろう。
「間宮先生、そんなにカリカリしてますとハゲますよ。あっこれは失礼貴方はもう……」
「黙れ黙れ!!」
そんな発言に律子はつい間宮の頭部を確認してしまった。
「間宮先生、ここのチェックお願い出来ますか」
とそんなくだらないやり取りをしていると奥のデスクから声が掛かる。
「あ?あぁ今行く!」
「ほら、ご多忙じゃないですか」
間宮は塔藤を睨んだが、呼ばれた仕事を無下にも出来ない。
「……仕方ない、村崎君。この不良を君に任せるよ」
「え、でも……」
視線を泳がせて律子は思案する。
(……塔藤さん……でも、上手くすれば色々聞けるかもしれない)
「じゃあ……お願いします!」
「うん」
「変な事吹き込むんじゃないぞ!彼女が入所した暁には担当は僕がさせて貰うからな!」
そう叫んで、間宮はプリプリとした態度で呼ばれたデスクへ向かっていった。
「ははは、相変わらず面白いなぁあの人は」
くつくつと笑って、塔藤は部屋の扉に手を掛ける。
「村崎さん、もうこのフロアは見たかい?」
「えっと……」
一瞬いい淀んだ律子だったが、すぐに笑顔で塔藤を見上げた。
「……実は私、プロジェクトのお仕事を手伝いたいんです。それでそういう関係のものを教えて頂きたいなぁと思って……」
その言葉に塔藤はきょとんとする。
「正式入社した時にきちんと教えて貰えるよ?」
「はい、でも早くお仕事に慣れておきたくて……私、昔から予習とか好きなんです!」
そう意気込む律子に塔藤は微笑んだ。
「偉いね村崎さんは。他の若い子にも見習わせて上げたいよ」
そしてゆっくり扉を開く。
「予習……か」
どこか目を細めて呟かれた言葉は、律子には届かなかった。
「村崎さんか、所属はどこ?」
「え?や、薬剤課ですけど…」
「へぇ、間宮先生と同じか」
「もういいだろう塔藤君!さっさと…」
この様子からして、どうやら塔藤は間宮を怒らせるのが楽しい様だ。
律子を自分が案内しようと言ったのもその延長上だろう。
「間宮先生、そんなにカリカリしてますとハゲますよ。あっこれは失礼貴方はもう……」
「黙れ黙れ!!」
そんな発言に律子はつい間宮の頭部を確認してしまった。
「間宮先生、ここのチェックお願い出来ますか」
とそんなくだらないやり取りをしていると奥のデスクから声が掛かる。
「あ?あぁ今行く!」
「ほら、ご多忙じゃないですか」
間宮は塔藤を睨んだが、呼ばれた仕事を無下にも出来ない。
「……仕方ない、村崎君。この不良を君に任せるよ」
「え、でも……」
視線を泳がせて律子は思案する。
(……塔藤さん……でも、上手くすれば色々聞けるかもしれない)
「じゃあ……お願いします!」
「うん」
「変な事吹き込むんじゃないぞ!彼女が入所した暁には担当は僕がさせて貰うからな!」
そう叫んで、間宮はプリプリとした態度で呼ばれたデスクへ向かっていった。
「ははは、相変わらず面白いなぁあの人は」
くつくつと笑って、塔藤は部屋の扉に手を掛ける。
「村崎さん、もうこのフロアは見たかい?」
「えっと……」
一瞬いい淀んだ律子だったが、すぐに笑顔で塔藤を見上げた。
「……実は私、プロジェクトのお仕事を手伝いたいんです。それでそういう関係のものを教えて頂きたいなぁと思って……」
その言葉に塔藤はきょとんとする。
「正式入社した時にきちんと教えて貰えるよ?」
「はい、でも早くお仕事に慣れておきたくて……私、昔から予習とか好きなんです!」
そう意気込む律子に塔藤は微笑んだ。
「偉いね村崎さんは。他の若い子にも見習わせて上げたいよ」
そしてゆっくり扉を開く。
「予習……か」
どこか目を細めて呟かれた言葉は、律子には届かなかった。