テディベアは裏切らない
小学生の頃、彼女に「ぎこちない」と言ってしまったのは、ほかならぬ私なんだ。
もっと自然に笑えばいいのに。それか、そんなに笑ってばかりで、人の顔色を窺わなくてもいいのにと思っていた。だから言った。
その人のためになれば――そう思うすべてが、ひとつ間違えば、偽善になる。善意の押しつけになる。正直な言葉が、人のためになるとは限らないのに。
だから彼女は私の言葉で壊れた。……少し、違うかな。歯止めが効かなくなっていた。
私は彼女がそんなことになっているなんて、知らなかった。中学は別々になってしまったから。
彼女を見る機会がなかった。だから彼女を再び見かけたのは、そして、あのぎこちない笑顔を浮かべていた少女が、まるでお人形のように鮮やかすぎる笑顔を被っているのを知ったのは、高校に入ってからだった。
私は彼女の中学校三年間を変えた――そう思った。
責任なんて、どうにも取れなかった。
けれど、彼は言うんだ。
「お前が気にすることじゃない」
そして彼女も言うんだ。
「さゆりんに悪意はなかったんでしょ?」
でも、だけど、私は思うのだ。
悪意がなければ、彼女の人生を変えてしまったことを、気にしなくてもいいのかと。
善意の押しつけは、悪意ととても似ているんじゃないか。
自覚なき悪意――それが、「善意の押しつけ」なんだ。
もっと自然に笑えばいいのに。それか、そんなに笑ってばかりで、人の顔色を窺わなくてもいいのにと思っていた。だから言った。
その人のためになれば――そう思うすべてが、ひとつ間違えば、偽善になる。善意の押しつけになる。正直な言葉が、人のためになるとは限らないのに。
だから彼女は私の言葉で壊れた。……少し、違うかな。歯止めが効かなくなっていた。
私は彼女がそんなことになっているなんて、知らなかった。中学は別々になってしまったから。
彼女を見る機会がなかった。だから彼女を再び見かけたのは、そして、あのぎこちない笑顔を浮かべていた少女が、まるでお人形のように鮮やかすぎる笑顔を被っているのを知ったのは、高校に入ってからだった。
私は彼女の中学校三年間を変えた――そう思った。
責任なんて、どうにも取れなかった。
けれど、彼は言うんだ。
「お前が気にすることじゃない」
そして彼女も言うんだ。
「さゆりんに悪意はなかったんでしょ?」
でも、だけど、私は思うのだ。
悪意がなければ、彼女の人生を変えてしまったことを、気にしなくてもいいのかと。
善意の押しつけは、悪意ととても似ているんじゃないか。
自覚なき悪意――それが、「善意の押しつけ」なんだ。