テディベアは裏切らない




高村まひるに逢えたことは、とても幸運だった。彼女がいなければ私はたぶん、人生の途中で自分を許してしまったかもしれない。

けれど、彼女に逢えたから……私は、自分の背負っている十字架がいかに重いものかを……そして、それを自分の背中に、鎖でぐるぐると縛り付ける必要性があることを、充分に理解できた。

私は、一生許されるべきじゃない。

ちらりと、夏の空から教室へ目を戻す。

昨日のテレビがどうのこうの話しているレナちゃんとほたるちゃんが、私のすぐ横にいる。授業と授業の合間にやってくる休み時間は、純粋に、楽しい。こんな私でも、自然と笑みが出る。

中学のあの日――私が殺してしまった彼女のそばには今――この二人のように明るく、元気な友達が、いるのだろうか。


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