テディベアは裏切らない
「変だよね。今は楽しいのに、なにかを置いてきちゃったみたいに時々、切なくなるの。ねえ小百合。私、小百合に逢えて本当に、よかった……のかな?」

私も、彼女をあのカーテンの日陰から連れ出して、よかったの、かな?

「ねえ、もしさ。私が、あの頃の私を返してって言った小百合――どうする?」

答え、られなかったし、未だに、答えは得られない。

彼女は一度死んで、今の彼女になった。だから、彼女を一度殺したのは、私なんだ。答えを見つけなければならないのに。

私は人の未来を変えてしまった。だからその日からずっと、考えてる。答えは、見つからない。

彼女の傷も、きっと癒えてない。


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