学び人夏週間

「なっ、なんだよ」

控えめに口ごたえをする重森。

私のときとは大違い。

先生である私の言うことには文句ばかり言うくせに、松野の言うことには噛み付けないらしい。

「うるさいって言ったの。やる気がないなら、やるフリだけでもしとけばいいじゃない。文句言ってもやらなきゃいけないことは変わらないんだから、これ以上喚かないで。迷惑」

バカにしたように話す冷めた松野と、悔しそうな顔をするクソガキ重森。

松野が本当にバカにしているのは重森じゃなくて私だ。

やるフリだけでもしとけばいいなんて、普通講師のいる前で堂々と言えるものじゃない。

「全教科分の課題を終わらせれば学校の宿題をやってもいいんですよね?」

「終わればね」

「わかりました」

そう言って彼女は鏡を閉じてペンを握り、ようやく真剣に取り掛かった。

それを見た重森も、面倒臭そうに問題に目を移した。

不思議。

講師である私が言ったってやらなかった課題を、隣の席の生徒がやれば取り組み始めるなんて。

わからない。

15歳ってわからない。

私もつい5年前まで15歳だったのに。

これがジェネレーションギャップなのだろうか……。

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