学び人夏週間
そのやりとりに思わず吹き出す。
この二人、あんまり楽しげに喋ったりしないけれど、案外仲がいいのかもしれない。
二人は笑う私を見てぷいっと互いの視線を外した。
「あんたたち、いいコンビかも」
私がそう言うと、再び松野のメスが入る。
「こんなガキと一緒にしないでください」
ガキという部分が気に入らない重森は、すぐさま松野に噛みつく。
「同じ15歳だろ? 学年が一つ上だからって偉そうにすんなよ」
まったく生意気だ。
偉そうにすんなと言いたいのは松野の方だろう。
松野は重森など眼中にないといった様子で、クールに課題へと目を向けた。
彼女の方が、一枚も二枚も上手のようだ。
諦めろ重森。
明らかに君のほうがガキである。
相手にされないと悟った重森は悔しさを燻らせたまま、ようやく課題に取り組み始めた。
午前11時を過ぎた頃、この教室にも日差しが強く入り始めた。
窓から外を覗けば見えるのは山ばかり。
木々の葉が日の光を反射してキラキラと輝いている。
いい天気。
暑いけど気持ちよさそう。
こんな景色、久しぶりだ。
大学入学以来、地元より少し都会な街に溶け込むのに必死で、自然の美しさや力強さなんて忘れていた。
私ってちっぽけだな。
自分の勤めている塾と違うからって、不満ばっかり感じている場合ではないのに。
私は清々しい気持ちでブラインドを下ろし、角度を調節して席へと戻った。