学び人夏週間

「面白かった。なんか、今でも心に残ってる感じ」

「それはよかった」

主人公の年齢が大人だから中学生男子には少し難しいかもしれないと心配していたが、ちゃんと楽しんでくれたようだ。

「エロさは期待したほどではなかったけど」

不満げにしているつもりかもしれないが、少し照れた表情。

素直にありがとうが言えないあたり、まだまだお子さまだ。

「まぁ、エロ小説ではないからね。作文、すぐに読んで添削して返すから」

「へーい」

重森はすぐに自分の席へと戻っていく。

下手な字で書かれた読書感想文を見て、私は笑いをこぼした。

ちゃんと頑張ってるじゃん。

「朝からエロとか盛りすぎ」

今日も爽快に松野が斬る。

「さやか先輩だって読んだくせに」

「あたしは文学として読んだの。エロ目的のあんたと一緒にしないで」

「俺だってちゃんと感想文書いたぞ」

「どうせエロくて面白かったって書いたんでしょ」

「書いてねーし。真面目に書いたし」

「とうだかねー」

なんだかこの二人、前より仲良くなってない?

昨日のあれで距離が縮まったのだろうか。

「はいはい。二人とも朝からうるさいよ。今日の課題出して」

「だってはじめちゃんが」

「だってさやか先輩が」

「どっちもじゃん」

一昨日と昨日が嘘のように、明るくて楽しい雰囲気。

今日は楽しく過ごせそうだ。

< 133 / 200 >

この作品をシェア

pagetop