学び人夏週間
「そっか、いるんだー」
小谷先生は何でもないような感じを続けている。
「どんな子?」なんて聞かれたらどうしよう。
その時は、正直に私だと言おう。
隠すことには意味があるけれど、嘘をついても仕方ない。
こっそりそう決意したが、彼女はそれ以上俊輔について尋ねてこなかった。
「お風呂先に頂きました。次どうぞ」
交代のため、理科担当の講師、田中先生に声をかける。
この田中先生とは、なかなか話す機会がなく、何者なのかさっぱりわからない。
彼も大学生なのだろうか。
それとも社会人なのだろうか。
「あ、どうも」
そう言って軽く頭を下げ、私を避けるようにそそくさと去っていく。
長身だしスタイルいいし顔もいいのに、この愛想のなさは残念だ。
もう少し笑えばモテるんじゃないかなぁ。
小谷先生の心を俊輔から奪ってくれないだろうか。
長い脚でスタスタ歩いていく彼を目だけで見送って、私は国語部屋に入った。
「あ、佐々木先生~」
昨日も遊びに来ていた女子高生二人がいる。
しかし松野の姿はない。
「あれ? 松野は?」