学び人夏週間

私がそう尋ねると、二人は少し不満げな表情で顔を見合わせ、口を尖らせた。

「なんかぁ、さやかってば読書に目覚めたらしくってー」

「部屋で本読んでるんですよー」

へえ、ちゃんと読んでくれてるんだ。

友達二人を差し置いてしまうくらいハマってくれたと考えていいみたいだ。

「あなたたちは、学校の宿題はいいの?」

昨日もそうだったが、一応宿題らしきテキスト類を持ってきてはいる。

持ってきているだけで、それらが開かれているのは見ていないけれど。

「やろうと思って持ってきたんですけど、友達といると、つい喋っちゃうんですよ」

「やる気がないわけじゃないんですけどね」

その気持ちは、わからなくはない。

日常から離れた合宿という環境。

仲のいい友達といつもより長い時間を共に過ごすことができるから、つい友達を優先してしまう。

まあ、みなみ塾の合宿は、生徒の自主的な学習が主体のユルい合宿だ。

今は自由時間だし、友達と喋って過ごしても、何ら問題はない。

やる予定だった宿題が進まないのは、自己責任である。

恋の話、おしゃれの話、芸能人の話、そしてたまに人の悪口。

女子高生の話題は尽きない。

私も少し前までこうだったのかな……。



「10時でーす。寝るぞー」

宿泊する部屋に戻る午後10時を知らせに来たのは俊輔だった。

「はーい」

あれからずっと喋っていた二人は、元気に返事をして機嫌よく帰っていく。

国語部屋が、私と俊輔だけの空間になった。

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